ひょんなことからアフリカへ

ひょんなことからアフリカへ行くことになった男がアフリカから日本に帰ってくるまでの日々を描いた日記。

「ひょんなこと」はいつでも起きている。

 ふと最近、アフリカでの出来事を思い出すことがある。

 今のぼくの近況は、「受験生を教える受験生」だ。

 アフリカから戻って以来、塾での指導や事務に明け暮れている。明け暮れすぎて、ここ最近は結構疲れている。それもそう、ぼくのいる塾は、中学受験生が多い。そのため、今の時期(1月中旬)は冬期講習も終わって、最後の詰めの時期なのだ。だから、多忙になる。人によってはおためし受験というかたちで県外の学校などへの受験をすることもあり、刻々と本番が近づいていることをみなが徐々に感じる、そんな時期なのである。それに、ぼくにはもう程遠い話になってしまったが、大学生にとってはちょうどテストの時期でもある。それもあって、この時期は色々なものが重なってくるのである。本当に、大学のテストを受けていたのが4年前ともなると、忘れるものだ。ぼくはもう大学生ではないので、テストもなければ通学もない。ただ、時間はある。だから、塾には過去にないくらい、コミットしている。

 まあそれはさておき、ぼくは受験生を教えるかたわら、「受験生」でもある。それはつまり、学校への採用を狙っている、という意味で。ぼくも、来年度の4月から、どこかで教員として働く。そう考えると、いよいよ、また別のステージに行くわけだ。期待感が増す。と同時に、もう中学受験生を、支える側としてフルコミットすることは、おそらくもうないのだなと思う。不思議な感覚になる。なんだかんだ、2013年から2020年までの計8回、中学受験を経験してきた。さみしくなるのか、重荷が取れたようにすっきりするのか、やっぱりやりたいとなるのか、どうなるのかわからない。おそらく身体の一部みたいなものなので、それがなくなった時のぼくの感情は、その事態をどう受け止めるのか、わからない。ただひとつ言えることは、人間は順応するということ。いや、順応せざるを得ないということ。きっと、来年の2月も、同じようになにかを抱えようとしているかもしれないが、その時は、その時である。

 さて、今年、、、じゃなかった。もう去年のことだ。去年の5月中旬、ぼくとぼくの友人はモザンビークという国にいた。アフリカの、南東部に位置する縦長な国。日本よりもずっとでかく、それなもんだから、インフラ整備が全然追いついていなくて、150㎞移動するのに大型トレーラーで10時間以上かかってしまうような、でこぼこの赤土ロードばかり。最近は、中国とか日本とかいろんな国が投資先として少しずつ注目し始めているらしく、アジア系の顔立ちの労働者も時折見かけたが、その一方で、国境にいる警察も平気でビザ代50ドルのところを100ドルと言ってくるような、ほかの旅行者に聞いても「あそこの警察はDirtyだ」と言われてしまうような、そんな国だ。

 そんなモザンビークで、ぼくは、アフリカ旅行のなかでも印象的な出会いを果たす。それが、オーストラリア人バックパッカーのSam、そしてフランス人カップルのMaudとGuillameだ。この3人とは、モザンビークバックパッカー宿で出会った。Samはたしか、エンジニアだった。世界1周を”2周目”だったか。背が高く、飄々としていて、ぼくの友人のように、旅慣れている雰囲気があちこちから醸し出されていた。大きなバックパックをガムテープとかで補強しながら使っていて、「これも2代目だよ」みたいなことを言っていたのを覚えている。Facebookをちらと見ると、今も旅行中のようだ。そしてフランス人カップルのMaudとGuillame。彼らもアフリカを何か月も旅行中だったらしく、たしかあと2、3週間くらいでフランスに帰るという旅程だった。大きなバックパックを抱え、一緒にミニバスに乗ったのも覚えている。

 アフリカ旅行における思い出の中でもいろいろな種類のものがある。「出会った人」の思い出の中で特に大きいのが、モザンビークでの出会いだ。数日間、なぜか旅程を共にして、そして、パッと別れる。そんなわずかなものなのに、暖かく、懐かしく、その縁は切れていないように思える。いま、ぼくがやることに明け暮れて、疲れ切っていることも拍車をかけているだろう。どこかに行ってしまいたい、という願望もある。すると、必ずアフリカ旅行を思い出す。そして、彼らを思い出す。ほかにもたくさん思い出すが、やはり、人間との出来事を思い出す。また再びどこかで会えないかと、ふと考えてしまうのである。

 ときに、「ひょんなこと」が人生を大きく揺るがし、その後の人生をガラリと変えてしまうことがある。誰と出会うかで、その後の自分の人生が、自分自身が、変わっていく。きっと『クラウドアトラス』をまた見ちゃったのもあるだろう。ぼくは影響されやすい。でも、やっぱり、ここ数ヶ月、色々な考えを経て、そして、自分の人生がまた新たなフェーズにいよいよ移行する、と考えたときに、想いが溢れてしまった。

 自分がどうなるのか、楽しみとか、不安とか、いろいろなものがある。将来を考えたりもする。また、旅に出たいと思ったりもする。考えても考えても、想いは尽きない。

 以下の写真は、フランス人カップルのMaudが、先々月、突然送ってきてくれたものだ。これがとってもよい写真で、思わず記事を書きはじめたのだが、下書きのまま2か月ほど放置してしまっていて、ようやく今日再開して書き上げた、という感じ。

 受験が終わったら、いっぱい映画見て、本読んで、出かけて、なんか見に行ったり聞きに行ったりして、インプットをしまくって、傍らで旅行にも行って、たくさん楽しもう。

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