アフリカまであと7日~ジブチ大使は、おじのよう~
あとぴったり、1週間後に迫ったアフリカ!
目黒駅から歩いて20分ほど。
駅前の喧騒―選挙期間のために、さらに騒々しかったようにも思う―からは離れて、住宅街が立ち並ぶなかにひっそりと、けだし大使館という単語からは想像できない静かな佇まいで、それは存在していた。
それでも、外には、青色に白字のナンバープレート、いわゆる外交官ナンバーを携えた黒塗りの大きなセダンが控えていたため、僕の頭は一瞬でこの建物が大使館であることを認識した。
ただ、大使館が2階にあるのを知らず、1階の全く関係ない店にピンポンしたのはうかつだった。
ジブチという国がどこにあるのか、なにがあるのか、僕はよく知らない。
アッベ湖という、『猿の惑星』のロケ地になった湖があることくらいしか知らない。
そして、とても暑い国らしい。ここにはどこか親近感を覚える。覚えたくない親近感だが。
出迎えてくれたのは日本人の女性。少しばかり日本語の会話を交わしたのも束の間、たいした事前知識もない僕が伺った部屋には、ジブチの大使と参事官がいた。
ドアが閉まる。
参事官はメモ役。
大使と僕の1対1のトークがはじまった。
会話は英語である。ジブチは公用語にフランス語とアラビア語がある。僕はフランス語もアラビア語も話せない。
ただ、最近なぜか英語でのコミュニケーションは取られるようになった。いつからかは定かではない。
やはり、これは万人に共通するのかもと思ったことが、僕の境遇を語ると皆そろって「オォ~」と声を漏らす。ちゃんと伝わっている証拠なのだろうか。
どうやら僕はジブチ大使にはじめから心をつかまれてしまったようである。
というのも、ふいに見せてくれた写真には、彼がコスプレ的な武士の衣装に身を包み、満面の笑みで火縄銃を構えていた姿が映っていたからである。
壁には、同じくその衣装で背景には満開の桜が咲き誇る彼を映した染物が飾ってあった。そしてひとこと、「I like Japanese Culture.」と言って、会話が始まった。
そこからは、僕の話やジブチ国内の情報についてなど、色々な話をした。
まるで親戚のような雰囲気―これはきっと、立地も影響しているのだろう―が部屋には漂っていて、会話は、滞るばかりかむしろすいすいと進んでいった。
ちょうど来週の今日、出発する。
とても楽しみになってきた。
なんだかわくわくしてきた。
やれることは全部やろう。
楽しめることは全部楽しもう。
少し先の未来を考えたとき、僕には「教員」という選択肢がある。
きっと、この一連の体験は大きなものになる。
またあらたなことを考える素晴らしいきっかけになるのは間違いない。
ジブチ大使とぼく