ひょんなことからアフリカへ

ひょんなことからアフリカへ行くことになった男がアフリカから日本に帰ってくるまでの日々を描いた日記。

アフリカ5日目〜エチオピア編⑤〜

日本で、というか、人間が営む生活における最低限必要なことを西に10000km離れた場所で同じように出来るだけで満足度がここまで上がるとは。

憲法25条1項のような内容だ。(笑)

 

 

今日は非常に満足した1日だった。

これから書く内容は、おそらく一般的に考えられる「非常に満足しうる、充実した“旅”」とは違うものになるかもしれない。

 


僕は今日、ただ起きて、ただ歩いて、ただ昼寝して、ただ夕食を済ませて、ただ食後のコーヒーを飲んだだけなのだ。

観光地はおろか、面白いアクションも起きていない。

 


今は夜7時。

しかし、エチオピアでは、エチオピア独自の暦と時間帯を採用していて、今は午後1時である。

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(日も暮れはじめてんのに、なんで午後1時前やねん!とつっこむなかれ、これで正常である)

 

グリニッジ標準時を基とする時間では、日本とエチオピアの時差は6時間。

そして、エチオピアグリニッジ標準時エチオピアの独自時間帯の時差も6時間。

つまり、日本人とエチオピア人の時間感覚は、ぴったり12時間(=半日)ずれていることになる。

我々が午前7時と考えるなら、エチオピア人の多くはそのとき午後7時だと感じていることになる。

 

 

今日は自分にとっての定番コースとなりつつあるこの道を昼間に散歩した。

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しれっと、アディスアベバは標高が2400mほどある。

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しかもこのような坂道が結構あるので、かなりきつい。昼間は25度くらいまで気温が上がり、湿度はないものの、太陽がしっかりと顔を出しているので、かなりきつい。

お金の関係から、省エネモードで過ごしているのでいざ歩くとすぐに喉と肺の間あたりがぎゅぅっと詰まり、多少の痛みとともに苦しさが襲ってくる。

そのうえ、前には2人組の若い男らがいるではないか。18歳くらいだろうか。よくわからないボロい雑誌を僕ににこやかに見せつつ、一緒に歩いてくる。距離が近づく。そして触れる。僕は思わず怪訝な顔をした。それでも彼らは「チャイナ、チャイナ、ジャパン」と言いつつ迫ってくる。一瞬止まり、我にかえるとなぜかボディバッグのチャックが開いていた。歩いている途中、自分で開けて閉め忘れていたものだと思いたい。きっと朦朧としていたので、自分のミスだろう。

そんなことを思い、再び歩き出すがまだ彼らはいた。そして同時にまた歩き出した。

僕は、自分でも本当に嫌な顔なのだろうな、という表情を踏ん張ってつくりだし、ひとりの目を見据えた。

そうしたら彼らは僕から離れ、立ち去っていった。こいつには妙味がない。そんな感じで、飽きられるようなかたちでその場を去っていった。まあ、それで十分である。

 


そんなこんなで昼は1時間以上歩いた。

この標高で普段から暮らしているのならば、あれだけエチオピア人がマラソンで速いのも納得である。彼らはすごい。

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かなり疲れたので、ホテルに帰ってからしばしの昼寝をかました。

 

 

 

起きたら18時前。

僕はここ数日まともに食べていないことを再認識した。食べられないわけではない。食べていないだけだ。お金もあるし、近くにレストランも点在している。

近場のレストランに脚をのばすことにした。

”KG CORNER“というレストランだ。数日前にも来たところだ。そこで僕は”ノーマルバーガー“という、ビーフとトマト、レタス、ケチャップとマヨネーズを、噛みごたえのあるパンに挟んだ、まさにノーマルなバーガーを注文した。実はこれ、以前来たときにも頼んだ。

なぜなら、うまくて安いからだ。

結構でかくて、しかもポテトもついている。

それでもって60ブル(240円)である。コーラもつけて75ブル(300円)。

いま、僕の身体は300円でじゅうぶん満たされるようになっている。

ある程度久しぶりに”食べる“行為をして、やはり僕は腹が減っていたのだと感じた。

食べ終わった時にはすごい満足感が僕の身体を駆け巡る。やはり生き物は食べなきゃダメだな。武士は食わねど高楊枝なんていうが、武士の前におまえは人間なのだから、まず食え、満足するから、と言いたい。

 


レストランを出ると自然に笑みがこぼれた。よくわからないが、僕は満足するとアウトプットとして笑みがこぼれる。

幸い、標高の高いアディスアベバは日没前くらいになると、半袖にユニクロのポケッタブルパーカーを羽織るくらいでベストの気候になる。要は、とても過ごしやすい。

 


たいして見知らぬ異文化の地においても、”食後のコーヒーでも飲もう“と思うくらい、気分がよい。日没の時間帯になり、徐々に暗がりを見せつつある街を仰ぎつつ、僕はこれまたホテルの近くにあるコーヒー店TOMOCA COFFEE“に向かった。ここ、友人が言うにはエチオピアいちうまい(つまり世界いちうまい)コーヒー店らしい。そこで16ブル(64円)支払い、食後のコーヒーに興じた。

 


店内には僕と15人ほどのエチオピア人と、ひとりのアジア人がいた。彼はエチオピア人と何か難しそうなことを英語で話している。久しぶりにアジア人を見た。いや、たいして久しぶりでもないのだが。でも、“2、3日アジア人と会わない”という状態がアジア人である僕にとってあまりにもイレギュラーな事態なので、そう感じてしまった。

彼は日本人だろうか、解決する気もないそんな疑問をふんわりと持ちながら、うまいコーヒーを飲み終え、すっかり夜になったアディスアベバを少し歩いて、僕はホテルに帰った。

 


そして、いまはホテルの出入り口にある外のソファに身を置きながら、この記事を書いている。少しばかり蚊がいるが、あまり気にならない。B4用のファイルにA4の紙を半分に折って入れる方がよっぽど気になる。

 


冒頭で、いまは夜7時と書いたが、もうすぐで8時になる。最近はこの時間帯になるとだんだんと眠気を覚えるようになった。

 

 

 

いやあ、今日はどこにも行っていない。

ただ起きて、ただ歩いて、ただ昼寝して、ただ夕食を済ませて、ただ食後のコーヒーを飲んで、帰ってきた。そして1日を終えようとしている。

 


旅してるのに、どこも行かないなんて、と我ながら思う。そんなん日本でも当たり前にできる。

それを、エチオピアアディスアベバでやることに自己満足している。

これもひとつの“旅”といっていいのではないだろうか。

とても満たされている。

 


ホテルの外のソファに座っていると、少しばかり離れたところにある店の、きっと大音量で流れているであろうエチオピアのレゲエっぽい音楽がかすかに耳に届く。イベント会場の外で、その音が街なかの雑音とともに聞こえるあの感じである。

風も少しばかり吹き、車がしばしば通る。アディスアベバではクラクションが結構鳴る。まあ、インドを100とするならここは10くらいだが。(笑)

インドは、日本人が「すみません」と言うくらいクラクションを鳴らす。

 


さあ、もう書くこともなくなった。今日は非常に満足している。

 


明日は、「意外に忘れて痛かったアイテム」である“タオル”を探して、よさそうなシャンプーなどがあればそれを探すことに時間でも使おうか。

 

今日は水(600ml)11ブル、夕食75ブル、コーヒー16ブルの計102ブル(408円)の出費で済んだ。これで満足できるとは、なかなかである。

 

 


ひとまず、持ってきた本でも読んで、眠くなったら寝ることにしよう。